2017年2月28日火曜日

高級フレンチレストランのめくるめく珍覚

高級な世界というのは一周回って滑稽になってくる。
例えばフランス料理をふるまうレストランなどは、高級になればなるほど異空間の様相を呈する。
値段もバカみたいなものになってくる。
友達の女性で、海外に住むお金持ちの日系人の実業家と付き合った事があるという人がいたので、いったいどんなデートをしたのかと聞くと、笑いなしには聞けないような状況が繰り広げられていた。

例えば、ある高級レストランでは、席に着くとワインを勧められるが、お酒は飲めないと言うと今度はなんと水のメニューが出て来るそうだ。
そこにはスイスのどこそこの山から汲んできたどうたらこうたらと説明が書かれているらしい。
炭酸水を頼むと、ガス入りの水でございますね。と言われ、そしていきなり「マダム」と呼びかけられる。
ちなみに料理人もウエイターも客もその物語に登場する全ての登場人物は日本人だ。

この間はテレビで有名なフレンチシェフがカスベをメインに置いたフルコースを苦心して作り上げていた。
このシェフの料理への熱い思いは素晴らしいとして、それは横に置いておこう。
しかし途中シェフ同士の会話で、カスベとタイを掛け合わせた料理の試食に際して「タイが旨すぎて」とシェフ自身が言っていた。
カスベというのはコリコリとしてコラーゲンを多く含む身と軟骨でできているエイのことで、一言で言って食べづらい。調理の幅が少なく、いわいる珍味という範疇にある。
唐揚げにすると美味しいなどと書かれているが、唐揚げにして美味しく無い食材などなかなか無い。
雑草でも天ぷらにするとだいたい食べられるようになる。
しかし珍味であるから高級食材としても扱われている。
珍しい、そして普通じゃ無い食感などが、たぶん一部の人にはウケるのだろう。
しかし絶対にタイのほうが旨い。
カスベのポテンシャルを最大限までそのシェフは引き出したのだとは思うが、結局タイの純粋な旨味は越せないのだ。
しかしじゃあタイにするかとはならないのも分かる。
それならそのシェフが挑戦する意味がない。

とにかく珍しい。
カスベという食材自体が珍しいし、カスベをそこまで徹底的に調理してコース料理のメインに据えようと試みた人も珍しいだろう。
料理人サイドで見れば、それは食の可能性を追求していく飽くなき過程で、その真摯な姿勢を見ると感動し、応援もしたくなるが、しかしなんというか複雑な心境になる。

高級料理というものは、一体何を目指しているのだろう。
いままで見た事も無いような料理を創り出さないと、世界の大会などでは上位に入れないようだ。
いままで食べたことも無いような美味しい料理とは言っていないような気がする。
いままで食べたことも無いような美味しい料理など、もう料理人の中ではとっくに眼中に無いのでは無いだろうか。
まったく同じものを100分の1の値段で汚い定食屋で出されたら、失敗したと思いたくなるような料理に、極限の付加価値を添えてキワモノを追求しているように見える。
しかしそれは料理という一つの学問をとことん追求していく人たちの、必然的な境地だろう。
タイばかり捌いていてもどうしても切り開けない場所があるのだろう。

作家が自分の作品に捧げた努力や試行錯誤は、絶対的な量で自分への評価として持っているものだと思う。
その価値観はどこに行ってもどこに出しても変わらないはずだ。

しかし客はフレンチ世界大会の審査員では無いのだから、自分の舌の感じるままに旨い旨く無いで物を言えば良いと思うのだ。
その、料理人の立ち位置から料理の追求をした結果生まれた世にも珍しい料理にあてられて、それを出された客までが、何やらもう旨い旨く無いを越えたところで、自分個人の価値観をギブアップしてめくるめく珍しさの渦で溺れているように、見える。

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